【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第8章 真実の愛※
20年間、愛した悟の姿は、傑だった。
仁美は顔を手で覆うと、涙が出た。
悟が仁美に好かれる為に、必死で作り上げてきた人格。
笑い方。
今世では、全て傑にあった。
あんなに完璧に演じれるほど、悟は傑を見てきたのだろう。
傑に回帰前の悟を見て、涙が出たのでは無い。
悟がそこまで今でも信頼している傑の根っこの部分に、悟と傑の関係を見て涙が出た。
話が逸れてよかった。
私は貴方に死を知られたく無い。
傑に感じているこの気持ちが、悟を思ってなのかも、もう分からないほどに、傑は仁美にとって、大事な存在になっていた。
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しばらくして、傑が戻って来ると、いつもの尼僧服で部屋の中に入って来た。
仁美は布団からモゾッと起きると、傑を見上げた。
傑はその仁美の姿を見て笑った。
「あは、服も着てなかったの?」
いつもの傑の笑顔に、仁美は涙を堪えるのに必死だった。
「…着替え無いもん…。」
帰る気は無い。
仁美はその事を傑に伝えた。
傑は屈んで仁美の顔に手を添えた。
隠そうとしていても、涙の跡が仁美の頬に付いている。
「…一緒にお風呂に入ろう…。」
そう言う傑に仁美は抱きついた。
ぎゅうっと傑を力を込めて抱き締めると、傑も仁美を抱き返してくれた。
やはり触れられた手が心地よくて、仁美は目を瞑る。
仁美を抱き抱えると、傑は浴槽に向かった。
大きな檜風呂に、仁美は少しほっとした。
匂いも湯けむりも、何故か心を落ち着かせる。
気になるのは、この古民家に、他の人間の気配がする。