【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第8章 真実の愛※
「!?」
外に人の気配を感じた。
傑は裸の仁美に布団を掛ける。
「……仁美、仕事の様だ。」
仁美が外から傑に目を戻すと、傑は目を細めて無表情だった。
その顔が今まで見た傑とは違って、仁美は思わず目を見張ってしまった。
「…少し待っててくれないか?」
そう言って、仁美を見た時には、もういつもの笑顔で笑っていた。
「……うん…。」
頷いた仁美を寝室に置いて、傑はそのまま部屋を出て行った。
障子が閉まるのを確認して、仁美は布団に倒れる様に横になった。
(…どうして…。)
ただ、傑に死んでもらいたく無い。
彼とこの先も一緒にいたいのに、上手くいかない。
仁美は傑が掛けてくれた布団をギュッと握った。
最初に傑に会いに来た目的は、ただ悟避けの為だった。
そして、そのおかげで、仁美は今世では、20回の回帰の中で、初めて希望を持てた。
……いつの間にか、傑が希望そのモノになった。
悟が学生時代、心から信頼していた親友で、悟にとっては呪術師の道標の様な人だった。
高専から出会った様な人に、どうしてあの悟がそこまで心を開けたのか分からなかった。
傑に会って、初めて悟の気持ちが分かった。
表情の読めなかった笑顔は、今では何を考えているのか分かる。
優しく話しかけて、触れる手はとても暖かい。
悟が、回帰中に見せていた仕草は、全て傑のモノだった。
弱者に優しく、穏やかに話しかけるその姿は、傑を真似していたモノだったのだろう。
悟の呪術師としての姿は、今も悟の思い出の中の傑の姿なのだろう。