【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第8章 真実の愛※
空港から仁美が向かった場所は、自分の家では無い。
仁美は真っ直ぐと、傑の元に向かった。
いつもの笑顔で出迎えてくれる傑。
その笑顔が少し、空元気なのに気付くも、仁美は笑顔を返して、差し出された手を取った。
傑の膝の上に座り、彼の肩に頭を置く。
今世で仁美が唯一息を付けるのは、この傑の腕の中だけだ。
「…悟に会った?」
目を伏せている仁美を、覗き込む様に、傑は聞いた。
仁美の口元の口角が上がった。
彼は何処まで知っているのだろう。
まるで全てを知っていて、小出しにされている気分になる。
よっぽど傑に心を許していなければ、最も警戒する様な人物だ。
本当に、この最強コンビはズルイ。
仁美の心を鷲掴みにしてから、自分の本性を晒せ出してくる。
それがバレても、もう仁美が自分から離れないと、確信している様な笑みだ。
仁美は自分に笑いかけて見下ろしている傑の顔に、ふっと笑みを漏らした。
「……しばらく傑と居てもいい?」
仁美は傑の首に手を回して、傑の顔を覗き込んだ。
「1人で居られないほど、悟と濃密な時間を過ごした?」
その通りだ。
そしてこのまま仁美を1人にするつもりも、傑には無いだろう。
何故今さら駆け引きの様な事で、仁美を試してくるのだろう。
(…土壇場で、私が悟に寝返ると思ってるのかな…。)
そう傑に思わせてしまったのなら、申し訳ない。
仁美は傑の唇にキスをして、彼の反応を確かめた。
変わらないいつものキスに、彼の心が見えない。