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【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】

第7章 異国の一夜※


「…何で…。」

怒りに満ちた仁美の顔が悟に向けられる。

「何で私が、貴方の為に死なないといけないの?」

悟の自己満足の愛が、蝕む。

まるで、ソレが正しい愛の形の様に、ゆっくりと、体を侵食していく様な感覚だ。

さっきまで、死ぬ事は視野に入れていたが、ソレは悟の側にいる為では無い。

「……もし回帰が起きるならだよ。」

どうせ死で魂が離れようとする仁美に、悟の縛りが回帰を起こさせるだろう。

あの術式は、二、三回の回帰の後、術式解除が出来なければ、訪れるのはただの死だ。

悟は仁美の死を回避する為に、何度も縛りを掛けている。

乙骨憂太と、折本里香の様に、どちらかが解除を望み、相手が受け入れなければ解呪出来ない。

そして悟は永遠に解呪する気は無いだろう。

何度でも仁美を忘れても、一目見れば魂が繋がった恋人だとすぐに分かる。

彼女も同じ様に悟しか愛せないくせに。

何故だろう。

目の前の彼女は、とても疲れ切っている。

お互いが離れない様に繋いだ縛りは、彼女には不幸でしか無いのだろうか。

その不幸は、悟と離れる事より、彼女を苦しめている様にみえる。

「…僕に、仁美の幸せを願って立ち去れ…と?」

「………そうよ……。」

仁美の今世に、悟は邪魔でしか無い。

「ソレが真実の愛ってモノじゃ無い?」

仁美はニコッと笑って、悟を見た。

悟はハッと笑って、仁美を見返した。

「…じゃあ言ってみろよ…。」

今世でしか聞かない、悟の低い声と、冷たい目が、仁美を見下ろす。

いつまで経っても慣れない、今世の悟に、仁美は目を顰めた。

悟はそんな仁美の顔に触れると、目を細めて言った。

「僕を愛していないと、その口で言ってみろよ。」
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