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【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】

第7章 異国の一夜※


悟の息が耳にかかり、唇が頬に触れる。

彼の声が耳元で聞こえた。

「分からない…こんな気持ち初めてなんだ…。」

仁美はその悟の言葉に、一瞬時間が止まった。

頭が思考を停止し、すぐに回復すると、その言葉の意味を理解する。

はっー。

仁美は乾いた笑みが出ると、悟の襟首を掴んだ。

「?!」

さっきまでのその場に似つかわしく無い仁美の行動に、悟は彼女の顔を見た。

その顔は、顔に血の色を感じない暗い真っ白く、無表情で悟を見ていた。

その仁美の無機質な顔に、悟はビクッと肩を震わせた。

「……21回目……。」

仁美の唇がゆっくり動くと、低い声がボソッと聞こえた。

「貴方が私に『初めて』と言った回帰の数。」

仁美は掴んでいた襟首を離すと、体を起こした。

「…愛していると言った数は20回…。」

「恋人だった数は15回。」

「逃げる私を掴み、離さなかった手は5回。」

一個一個、回帰の数を悟に伝える。

悟にもすぐに分かった。

20回の回帰で、全て恋人だったのは自分だ。

そして、20回の回帰も起こしたのも自分だ。

仁美はグッと悟の腕を掴んだ。

「私だけがその記憶を持って、貴方の愛を信じた数は20回よ。」

何十回も回帰して、馬鹿みたいに結局悟を愛した数は21回目だ。

「20年間私は悟で溢れているのに、貴方は新鮮な初恋にいつも心ときめかせてる。」

ポロポロと流れる仁美の涙が、悟の手に落ちてくる。

「酷すぎない?何でこんなに私を貴方だけしか見えない女にするの?」

それじゃあ、また繰り返すカウントダウンに、ただ絶望するだけの日々の繰り返しだ。

絶望の中に、悟への愛が込み上げてくる。

それに絶望した数21回目だ。
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