【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第7章 異国の一夜※
追加のビールを頼むと、悟は流石に心配になった。
仁美の顔はほんのりと紅潮していて、明らかにアルコールが回っている。
「仁美、空腹でビールは体に悪いよ。」
悟はそう言うと、来た前菜から一口分フォークで刺すと、仁美の口元に持っていった。
仁美はボーッとしばらくフォークを見て、パクッと口の中に入れた。
(え?何この可愛い生き物!)
確実に酔っている。
普段の仁美なら、絶対に悟の行動に冷たい目を向けるだけだ。
悟が何度も口元に食べ物を持ってくるので、仁美はその度に口にフォークを入れる。
こんな酔い方なら大歓迎だ。
悟は仁美を撫でたくなる手をぎゅっと堪えて、しばらくその仁美を堪能した。
残念な事に、ビールが来たら、仁美の興味はあっさりビールに持ってかれた。
追加のビールは、一口だけ飲んだ。
仁美はピアノの演奏で踊っている人達を横目で見た。
「……楽しそう…。」
今の自分とは正反対だ。
「僕たちも踊る?」
ポツリと言った仁美に、悟は少し笑って言った。
「……いいえ。」
仁美は悟を見ないまま答えた。
悟に触れて、また真実の相手では無いと突き付けられるのが辛い。
呪術師に会ってから、仁美は悟とまともに目を合わせない。
合わせられなかった。
悟の顔を見たら、泣きそうだ。
「………術式が反応した相手がいるの?」
悟の問いに、仁美は目を伏せてフッと笑った。
その仕草が答えを伝えている。