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2度目の人生は鉄華団 三日月

第2章 新しい道



『お父さん!私を研究所に連れて行って!!』

「ええっ!!?」

驚いた父の顔は初めて見る物だった。

「本当に来るのかい?」

リュックを背負った父のズボンをギュッと掴んだ。

『いく!!』

「…いつのまにか頼もしくなったなぁ」

頭を撫でられる。

ドレスを捨てて動きやすい服を好んで着る様になり運動も怠らない。

私は自分や父や友達を守れる力が欲しいのだ。

目的はマクギリスが狙っていた物を先に手にする事。

玄関を出るとカルタとガエリオがいた。

「ティフェ!学校を辞めるってホントなの!?」

『休学だよ。辞めるわけじゃないから』

「ご飯はどうするの!?まさかもう一緒に食べないって言うつもり!?」

『1ヶ月したら帰ってくるから』

「私に待てと言うつもり!?」

『待たなくても食べるでしょ?』

「そう言う意味じゃないわ!!」

駄々を捏ね始めるカルタに白いリボンを渡す。

「本当に行っちゃうの?」

『今回は研究所だからすぐ帰ってくるよ』

「でも1ヶ月って…」

『ガエリオにもあげる』

手作りのハンカチを渡すとガエリオはそれを握りしめた。

彼らの為にも力が欲しい。

私も父の研究を手伝って力をつけるんだ。

手を振って車に乗ると木の根元にマクギリスが座っていた。

彼はじっと私を見ている。

屋敷を出る時はいつも私が見送っていた。

でも彼が振り返る事は一度もない。

車が進んでマクギリスが見えなくなった。

…未練がましい。

目を逸らすことも出来ず
憎いのに助けられてドキッとした。

そんな自分が嫌いで手首を握り締める。

黒い感情が生まれてガリっと爪が肌に食い込み一本の線を引いた。

プツッと血が生まれる。

前は血が大嫌いだったが、自分の血に何も感じない。

何度も採血されてできた注射痕も無くなった肌に爪痕が残った。

ついた場所は大きな研究所。

中に入ると沢山の個体物質が一つ一つカプセルに入っていた。

「ティフェには掃除を頼もうかな」

『いっぱい綺麗にするね!』

「とっても助かるよ」

こうして未知の個体物質の捜索が始まった。

知っている情報は赤い宝石の様で握り拳の大きさということ。

それを頼りに私は箒を握りしめた。
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