第4章 鉄血と血と(1話)
皆んなが寝静まった頃
ボイラー室から明かりが漏れていた。
中には配管を使いトレーニングをする三日月と昭弘、ティフェの3人がパイプを使い上体起こしのトレーニングしていた。
「いいっ…か!…おれのほうが…からだ重いんだからな!」
回数が明らかに負けている昭弘は絞り出すように三日月に声をかけるが真後ろにいる彼に焦る様子はない。
「はいはい」
軽く返事を返している三日月の隣でティフェの震える二の腕は限界だった。
『あー…ムリ』
ポタポタと頬を流れる汗。シュルシュルと腰から伸びる尻尾で配管に巻き付いて両手を離すティフェ。ジンジンする二の腕を摩りながら
地面へ足をつき落ちていた上着を拾い上げる。
腕もパンパンだし上体起こしはもうやめよう。
『ミカー、走り込み行ってくるー』
汗で上着を着る気にはならない。寒くなる可能性があるので腰に巻きながら三日月に声をかけると彼は振り返らずに返事をした。
「わかった、俺も後で行く」
相変わらず筋トレに勤しむ三日月。一方のティフェは筋トレより持久力の方が好きだった。走るのは楽しいし気分が上がる。
逃げる様に外へ出ると暗い空に満天の星が広がっていた。
この景色は大好きだ。
空を見ながら走るのが火星で好きな事だった。
三日月が来るまであと10分。