第4章 鉄血と血と(1話)
「俺たちがお嬢様の護衛?」
それは昼時、いつものメンバーでテーブルを囲んでいたときだった。オルガの発言に驚いてスプーンを止める。マルバからの呼び出しの内容を聞いて各々が空想を想像することになる。
「お嬢様っていい〜匂いがするんだろうなーー!」
食堂でオルガの話を聞いたユージンとシノはそれぞれ声を上げるが統一感がない。特にシノ。三日月はもぐもぐと食事を咀嚼しおり感想はない。
シノの隣に座っているティフェは冷静さを取り戻し、幼馴染のカルタを思い出しながらスプーンを口へ運ぶ。
「なあ!ティフェ!」
『うん。そうだね』
シノが楽しそうに笑うから適当に相槌を打つと三日月と目があった。
「お嬢様ってのも同じ人間なんだし、そんなに変わんないだろ」
素っ気ない三日月の返答にシノは「ああっ!?」と声を荒げる。
『そんな事ない。生活も違えば匂いも違う。お嬢様はいい匂いだよ。きっとミカが驚くほどね』
カルタを思い出すも、男臭い場所に慣れすぎた鼻は既に馬鹿になり思い出すこともできない。ニヤッと笑って三日月を見ると不満そうに眉を寄せていた。分からないものが気に入らないのだろう。
「だよな!」
嬉しそうなシノに頷くと三日月が横から口を挟む。
「いい匂いならティフェからもするよ」
『は?』
ティフェは驚いてスプーンが止まり、机にポタリとポレンタが落ちた。
私っていい匂いなの?
「垂れてる」
『あ!』
慌てて机をボロ雑巾で拭く。変に動揺して心臓がバクバクとなった。嬉しかったが、常に運動しており汗臭いのは変わらないはず。不審に思って片方腕を上げて匂いを嗅ぐがわからない。
『汗臭くない?』
「どれどれ」
シノが顔を近づけてくるので顔を鷲掴んで止めた。