第11章 近藤・土方 願ってはみるけど叶うなって思ってる。
「土方さんおはよーございまーす」
「上司に向かってなんだその挨拶は。」
昨日の話の種が、大あくびをしながら歩いてきた。
腑抜けた挨拶に喝を入れるかのように、軽く頭を叩く。
これも含めて毎朝の挨拶のようなものだ。
「土方さんが偉い人とかむかつくー」
年齢よりも若く見える顔でべっと舌を出して生意気なことを言ってくる。
こんなのももう日常。
「てめぇがまだ餓鬼だからだろうが。」
「若いって言ってくださいー。私は先にご飯いってきまーす!」
「おいアキ。」
それじゃ!と去っていこうとするアキの腕を掴み、引き留めてしまった。
「何ですか?セクハラですか?」
何故引き留めたのか俺にもわからなかった。
「あ、いや、お前…結婚とかしねぇのか?」
「…は?」
返ってきたのは、怪訝そうな眼差しと、至極シンプルな一文字。
…そりゃあそうなるよな。