第8章 土方 揺れる匂いとその動き
「とりあえずそこに座れ。」
部屋につくと、物がない空間の真ん中を指差された。
部屋に入った私を確認して、土方さんは私に背を向け、ごそごそと何やら漁っている。
「何ですか?私今から襲われるんですか?」
「襲われてぇなら襲ってやろうか?」
「いや、冗談です。ごめんなさい。」
ペシっと頭をはたかれ、土方さんが私の後ろに座った。
「あぁもう今脳細胞死にました!土方さんのせいで馬鹿になったー!」
「まだ死ねる脳細胞がお前にあったんだな。」
「…それで、結局何なんですか?」
頬を膨らませながら、首だけで土方さんの方を向くと、
頭を掴まれグイっと元に戻された。
「いいからおとなしく前向いてろ。」
そう言われると、土方さんの手が私の髪の毛をすくう感覚がした。