第1章 Prologue
「だってあの人、どこから聞き付けたのか勝手にやってきて引き受けたんだよな」
「止められなかったの?」
「気がついた時には無理だったよ。蘭は安室透も連れて行く気満々だったからな」
小五郎のおっちゃんの事務所に喫茶ポアロで余ったハムサンドをおすそ分けに来た時の安室透を思い出した。あの時の顔は明らかに公安警察としての顔____降谷零だった。
「はぁ……あなた達は相変わらずアツアツなのね」
「はぁ!?アツ……!?」
「声抑えないと吉田さんにも聞こえるわよ」
プイっと灰原がそっぽ向いた際に歩美ちゃんが近づいてくる。
「コナンくんと哀ちゃん、なんの話ししてるの?」
「大人の話よ」
「大人の話ってな……」
近くに公安警察がいるんだからその言い方はやめろ。俺たちがいかがわしい仲みたいになるだろ。
「コナンくんたち!そろそろ移動するわよ!」
蘭は手をメガホンのようにしてエレベーター前から大声で話しかけてる。
「はーい!今行く!哀ちゃん、一緒に行こ!」
「ええ。いいわよ。遅れないようにね。探偵さん」
歩美ちゃんと灰原は手を繋いで一緒に蘭の方へ向かった。
俺も蘭たちを追いかけるように走った。