第1章 Prologue
ドンッ!
慌てて走ったせいで人とぶつかってしまった。やはり廊下は走るものでは無い。
「Are you okay?」
「え、」
滑らかな英語に驚いて顔を上げると目の前には金色の髪の毛で眉毛が特徴的で外国人らしく背丈や鼻筋も高かった。
「おっと、日本人だったか。済まなかったな。怪我はないか?」
さらに驚いたことに彼は流暢な日本語を操っていた。日本語まで喋れるのは意外だった。
「大丈夫だよ。お兄さんも無い?」
「ああ、大丈夫だ」
「それにしてもお兄さん日本語上手だね」
「ああ。日本語は日本人の知り合いに教えてもらったんだ……?」
俺の顔を見た瞬間その男の人は首を傾げた。
「どうしたの?ボクの顔になにか付いてるの?」
「いや……そのメガネ伊達か?」
「っ!?なんで分かったの!?」
驚いたことに俺を一目見た瞬間何故かそう言われたので俺は相手にバレない程度に警戒した。
「いや、なんとなくだが……」
「アーサー!もうすぐ移動するぞ!」
後ろから眼鏡をかけた男の人が急かすような口調でこちらを呼びかけていた。アーサーというのは多分この男の人のことだろう。
「そんなに急かすなアル!じゃあな。お前も連れの人が待ってるんじゃないか?」
その男の人が指したエレベーターには蘭が俺を呼んでいるように見えた。
「急がないと。じゃあ、またね。アーサーさん」
俺はエレベーターに乗り込んだ。