第1章 Prologue
俺は当たりをキョロキョロと見渡した。確かあの二人とはここで待ち合わせのはずだ。どうやら先に2人は合流しているらしいので後は俺だけだったらしい。
「あ、いた。紫苑、待ったか?」
「待たせてすまなったね。紫苑」
俺がここに待っていると連絡をすると数分後くらいに2人はやってきた。
「いや、そこまで待ってないよ。猫くんに類」
2人とは知り合いというか最早知り合いの域ではないけど。猫くんとは東雲彰人のことだ。この人はクラスが一緒で隣の席だったのだ。正直クラスの中では1番仲良いと思う。そして類とは神代類。中学、高校の先輩だ。知り合い方が特殊だったため先輩だけどお互いタメ語だ。
「そうかい……ところでなんで紫苑、そんなに不満げなんだい?」
「いや、だって、えむちゃんの知り合いって言うからすっかり宮女の子たちが来ると思ってたんだけど、まさかお前らだったなんて思わなかったもん」
「悪いかよ」
俺がちょっと2人から目線をずらすと猫くんは不機嫌そうに言った。
「いや、悪くは無いよ。ただ意外だっただけ。類はともかく猫くんまで誘うだなんて思わなかった」
「だろうな。俺もこいつが誘うだなんて思わなかったわけだし」
「え、類が誘ったの?猫くんを??さらに意外なんだけど」
猫くんは類のことを毛嫌いしているはずだ。誘いに応じるなんてそんな滅多なことはしないはずだ。
「本当は僕と寧々、司くん、えむくんとで来る予定だったんだけれどね、司くんと寧々が家の用事で来れないからね、えむくんに僕の知り合いを誘って欲しいってことで東雲くんを誘ったんだ」
「本当はこいつと行くだなんて嫌なんだけどなでも、冬弥が行ってこいって言うから……」
「あーなるほどね。だから猫くんここに来てるんだ」
昨日の夜絵名の挙動がやたらと変だったのはこのせいなのかもしれない。
「まあ、とりあえずチェックインしちゃって部屋に荷物おきに行こ」
「ああ」
「そうだね」