第2章 1日目
「それではみなさんご自由にお取りください」
という声を皮切りにあちこちから歓声が聞こえてきた。
「類、ご飯取りに行かないの?」
「おや紫苑、おかえり。うーん……そうだね……」
大ホールのステージから戻ってくる最中に見かけたスタッフたちが次々に奥から運ばれてくるワゴンには料理が乗っており、その数の多さと豪華さに俺は圧倒されていた。相席の方々も猫くんも取りに行っているらしく不在だ。
「あ、もしかして、出ている料理が野菜が多めだから食べたくないとか?」
「……ああ、そうだ。なんであんなに醜いもの沢山置いてあるのか分からないよ」
「お前は野菜に親でも殺されたのか?……ほら、類。あそこにお肉だけとかご飯だけのコーナーがあるからあれとか取ってきなよ」
「気が付かなかったよ。取ってくるね。……紫苑はどうするつもりなんだい?」
「僕?僕はねとりあえず……類と同じとこ行こっかな。行くよ!類」
「そうだね」
類の腕を引っ張ってやってきたのはお肉だけのコーナー。このコーナー、類のためにあると言っても過言ではないよね。まあ、俺は軽くチキンでものせたらサラダでも乗せに行こう。