第2章 1日目
少し時間が経ってから大ホール前を見るとオレンジ色の髪の人がキョロキョロして突っ立っていた。俺が軽く手を上げるとこちらに気がついた。
「悪い。待たせたか?」
「そんな事ないよ。猫くん」
「それにしても遅かったねぇ。東雲くん」
「いや、人助けをしていたら遅くなっちゃったんだ」
「人助け?猫くんが?」
「なんだよその言い方。その言い方だと普段俺は人助けをしないみたいな人になるじゃねぇか」
「そこまでは言ってないよ。とにかく座りなよ。猫くんの席はここだよ!」
自分の隣に東雲彰人と書いてあるのを横目に椅子を叩いた。
「おう……って相席なのか。相手は誰なんだ?」
「さあ?俺たちが来た時にはそれらしい人は見かけなかったから分からない。ただ、ネーム札には本田、フェリシアーノ、ルートヴィッヒって書いてあるけど」
「そいつら、遅刻してね?」
「……多分……大丈夫だと思う……」
「だから言っただろ!そんな時にシエスタをすると遅刻をするだろって!!」
「ヴェ、ヴェ、ごめんよ。ルート〜」
「まあまあ、フェリシアくんも反省していますし、それに一応時間には間に合いましたから……」
3人の男性が何やら言い合いながら大ホール入ってきた。金髪の男性は茶髪の男性を怒鳴り、黒髪の男性は2人をなだめている感じだった。あれって、6階のエレベーターホールで会った……。そんな感じのことを思っているの3人ともこちらに向かってきていることがわかった。思わず近くにいた類の裾を控えめに掴んだ。
「……む?この席か」
「そうみたいですね……おや、君は……」
「あれさっきエレベーターホール前で会った……」
「……えっと……」
流石にこんな近距離じゃ気がつくよな……。俺の明白(あからさま)な目線ずらしに気がついた類が口を開いた。
「紫苑、この3人と知り合いなのかい?」
「えっと知り合いというかエレベーターホールでたまたま居合わせただけなんだ……」