第2章 1日目
男の人は俺を投げ落とした。俺はモノかよ。
「イダッ」
全く……扱いが酷い。
「大丈夫ですか?」
「だ、……大丈夫ですよ!えへ。僕はこれくらい平気ですよ」
こんな状態の俺に話しかけてくれたのは黒髪の男性だった。急に話しかけたからびっくりしたが慌てていつもの調子に戻した。茶髪の人や金髪の人たちが俺に寄ってきた。
「ありがとうございます!」
黒髪さんが差し伸ばしてくれた手を握って俺は立ち上がった。人が多いな。う。顔には出さないけどやっぱり苦手だな。こういうの。さっきのでこの人達にちゅーもくされちゃったんだな……。
「痛いところとかない?」
「そこも問題ないと思いますよ。それで、えっと……」
眼鏡さんの方を見ると男性が気絶をしていた。あれ?
「ん?この男かい?腹を殴っといたんだ」
そんなに簡単に人って気絶させていいんだ。だったらさっさとスタンガンで気絶させてよかった。
〖それはそれでどうかと思うけど……〗
「あ、えっとありがとうございました。それでは失礼しますね」
お礼としては不十分かもだがこれぐらいでいいだろう。というか早く類たちのところに行かなければ。
「ちょっと待って」
「は、はい!なんですか?」
階段を降りようとしたら茶髪さんに引き止められた。びっくりした。
「これからどうせ大ホールに行くんでしょ?だったら俺たちと一緒に行かない?」
「……え、」
確かに同じ船だし同じ階だからまた遭遇するかもだけど一緒にいいのか?
「おい、フェリシアーノ、無茶言うな。こいつにだって一緒に来ているやつもいるんだろうから」
「……そうだよね。ごめんね。引き止めちゃって」
茶髪さんは金髪オルバさんに引き止められてすぐに手を引いてくれた。
「あ、それでは……」
……まあ、相手がそう言うならいいのかも。俺は大ホールへ向かった。