第2章 1日目
「なんでてめぇみてぇなガキがお金持ちのための船に乗ってるんだよ!!」
鳴り響く怒号。
胸ぐらを捕まれ壁にたたきつけられた背中。
俺は今理不尽にキレられている。
いやなんで?まず俺ガキじゃなくて16な?あれ、16って子供だっけ……そういうことは後でいいから!!
どうしよう!!
瑞希ぃー!!助けてー!!
あとお願いだからレンは引っ込んで!
『紫苑、ちゃん、大丈夫……?』
頭の中から囁いてきた。不思議だがセカイに行ける人なら頭の中で会話ができるらしい。
『大丈夫だからレンは奥に引っ込んでてくれる?この人のせいで周りに人が集まってるから』
『う、うん。わかった。また何かあったら教えてね。絶対』
『わ、分かってるよ。いいから』
レンに変な圧を受けながら消えたのを確認するとどうやって打破するのか本気で考え始めた。
本気でどうしよ……。
というかギャラリー、見てるんだったらせめて警備員呼ぶなりなんなりしろよ。あ、無理だ。ここにいるの全員日本人だ。いや、明らかに日本人以外もいたわ。今気がついたわ。
一応スタンガン持ってるけど使っても問題ないとは思うけど周りに人がいるからな……。
「あ?なんか言ったらどうだ?!」
俺は何も言わずにただただ睨みつけるしかできなかった。じたばたすれば離してくれるかな……。顎を蹴るとか。いや普通に考えて逆上されるだけだ。どーしよ。
類と猫くんと違う階の部屋だったのが不味かったのかな。
そもそも瑞希と一緒じゃない時点で難しかったのに。
俺は楽しいって思っちゃダメなのだ。
結局こうなるから。
俺にはやっぱりシアワセになる資格なんて____
『そんな事ない!!』
「Hey You!!」
その時突然知らない男の人の声と頭にレンの叫び声が鳴り響く。
『ごめん。レン。弱気になってた』
前者はともかく後者の叫び声は誰??
あれ、あの人さっきギャラリーとしてみていた人?金髪で眼鏡を掛けていた。
眼鏡さんにこのガラの悪い男は俺を掴んだまま睨みつけた。
「なんだ?お前」
「その子を離せ。子供相手に暴力を奮っちゃダメなんだぞ!」
すごくいい笑顔で眼鏡さんは言ってきた。何だか怖い。
「は?」