第2章 1日目
『ここは……?』
『すごい……綺麗……』
スマホから飛び出てきたのは初音ミク、鏡音レンだ。2人とも人から見られたらまずいが、鍵はオートロック式なので多分誰も入れないだろう。
「ここは昨日言った豪華客船の船室だよ。2人には見せるって約束したからね」
『ありがとう。紫苑。……それにしてもすごい綺麗……』
『あ、紫苑ちゃん、あれは?』
レンが指を指した先には水色で泡が浮いている時計があった。
「ああ、あれはね、人魚姫モチーフの時計だよ」
『綺麗だね……』
「ね。俺も生まれて初めて乗るからちょっと緊張してる。2階で猫くんたちが待ってるからちょっとだけだけどまた時間見つけたら呼ぶね」
『気をつけてね。紫苑』
「うん。ありがとうミク」
ミクは先に戻ってしまったがレンだけは残っていた。
『あ、あのさ、紫苑ちゃん』
「……?どうかしたの?レン」
『こっそりスマホの中から船の様子とか覗いてもいいかな?あ、もちろん他の人に見つからないようにだけど』
「もちろんいいよ。正直俺一人だと心細かったし。でも誰かが来たら奥に引っ込む。いいね?」
『それはもちろんだよ。約束するよ』
「ならいいんじゃないかな……それじゃあ、大ホールへレッツゴー!」
『うん!』