【HUNTER × HUNTER】アナタの奥まで【R18】
第3章 身体
翌日、目を覚ますともう既に逃げてしまったのかキルアの姿は無かった。昨日あんな事しておいてなんて薄情な野郎なんだ。
血生臭さや血痕がひとつも残っていないこの部屋で、昨日人が殺された自体もう既に私の中ではショックの対象では無くなっているのを考えると、だいぶ私も薄情な奴なのかもしれない。
年々、いや日が経つにつれて自分の人間らしさが薄れている気がする。
と言うもののここで言う人間らしさとは命を大切にしているかどうかである。
感情という人間らしさはキルアのお陰で豊かになってきている。
生き物を殺すという行為ははもう何とも思わないしむしろ外の世界へ行くことが楽しみになっているしもはや私は人間ではないのかもしれない。
キルアも彼の年齢と見合わない戦闘能力の高さ、そして瞳の奥に見える残虐さ、私と同じようにキルアも同じ日々を過ごしているのだろう。
もしかしたらキルアと私の境遇は似ているのかもしれない
まあ、キルアは私と違って外の世界へと動き回れる脚があるし跡継ぎという重い枷がある。
私といえばただゾルディック家の為に、イルミの為に動くただの駒であるのだが。
何を考えようとも私が駒であることは変わらない
そんなどうでも良い事を考えながらも、軽く身支度を整え味気のないいつものプレートご飯を食べ今日も私はこの広くて孤独な部屋で訓練を受ける。
はずであった。