第7章 蒼炎と蕭索※ホークス
「ゆら、夕飯食べに行く?」
外はもう真っ暗だった。
時計を見ると、19時を回っていた。
「…いい、ここがいい…。」
ゆらはそう言って、ホークスの胸に顔を押し付けた。
「じゃあ、すぐ作るから待ってて。」
ホークスはゆらを引き離すと、部屋着に着替える為に、寝室に向かった。
(……お兄ちゃん…。)
ゆらはホークスの後ろ姿を見ながら、そう思った。
ホークスはある程度のゆらの我儘は聞いてくれる。
特にプライベートではそうだ。
ホークスが着替え終わってキッチンに入ったので、ゆらもその後を付いて行った。
夕飯の準備をしているホークスを、ゆらは背中から抱き付いた。
「…… ゆら、やり辛い…。」
「…いいの…。」
完全に幼児返りしている。
こんなのはゆらが小学生の時以来だ。
随分と、情緒が不安定なのだと、ホークスはため息を吐いた。
ホークスはすぐに、簡単な材料でパスタを作ってくれた。
ゆらが邪魔するので、時間は少しかかったが、まぁいい出来だろう。
話し合いは…食事の後にしよう。
「いただきます。」
あまり食欲が無かったが、久しぶりのホークスの料理の匂いに、お腹が空いた。
一口食べて、よく知っている味に、頬が緩んだ。
(やっぱり、外食よりホークスのご飯の方が美味しい。)
ゆらの家庭の味は、施設の食事より、ホークスの作った料理だろう。
美味しそうに食べるゆらを見て、ホークスも食べ始めた。
別に料理が好きな訳じゃない、昔からゆらがねだるので覚えただけだ。