第22章 哀傷と蒼炎※焦凍
貴方の愛を気付いてあげられなくてごめんなさい。
「ゆら……、俺もっと強くなるから…。」
ゆらの個性を止められる位。
悩んでいるゆらに寄り添える位。
好きな女の子が、隣で笑っていられる様な男になれる位。
もっと強くなって、ゆらとずっと一緒に居たい。
今はまだ頼りないかもしれないけど、こうして会いに来てくれたゆらを抱き締める事は許して欲しい。
「焦凍……。」
ゆらの声がか細く、震える唇が触れてきた。
それがとても切なくて、そんな気持ちを埋める様に、触れられた唇を強く押し付けた。
ゆらが抱き締めている体勢のまま、ゆらをベットに寝かせる。
気持ちが昂り過ぎて、ゆらの服の中に手を入れてると、ゆらは応える様に舌を絡めてくる。
その刹那的な衝動に身を任せてしまっても、今はゆらを抱きたい。
一瞬の衝動を抑えるのが難しい彼女が、自分を求めてくれるなら、臆す事なくその衝動に応えたかった。
「……ゆら…。」
しばらく会って無かったからよく分かる。
服を脱がせたゆらの体に、他の男が残したであろう情事の痕。
その痕の濃さに、いかに相手が執拗にこの体を粘ったかが、嫌でも目に入る。
自分が大切にしてきた女の子が、他の男に汚されているのを見るのは耐えられなかった。
だけどもう、目を背けるのは辞めると決めた。
これがゆらだから。
自分が好きになったゆらの全てだから、全部含めて愛したい。