第6章 蒼炎を慈しむ※荼毘
荼毘にとっても、そばに置いておくのは、爆弾の様な女だ。
「……お前…そっち側で生きづらく無いか?」
どうやって、こんな性格で今まで周りに溶け込んで生きて来れたのだろう。
荼毘の言葉に、ゆらは目を細めた。
元々持っていた衝動性だったのは確かだ。
だけど本当に、こんな風になったのは、荼毘が初めてだった。
そして、それから皮切りの様に、どんどんその衝動性が強くなった。
抑えなければ、ヴィランと何の変わりもない。
じゃあ、荼毘の事を忘れて、今までの様に過ごせと言われたら、もう出来そうにない。
「……そうだね……。」
そう言って、ゆらが目を伏せて思い出したのは、ホークスだった。
彼だけが唯一、ゆらの本質を見抜いていた。
それでも寄り添って、その衝動性が間違わない様に、ずっと側で見守ってくれていたのだと思う。
荼毘に会う事は、ホークスを裏切る事なのだろうか。
ゆらの乾いた心を知っているあの人が恐れているのは、荼毘以外にその衝動が向けられる事だろう。
「……理解して、側に居てくれる人が居たから…。」
生きづらくても、辛くは無かった。
「……俺と来るか?」
荼毘の言葉に、ゆらは目を瞑った。
「…ううん…。」
ゆらが首を横に振ると、荼毘は目を細めた。
「………戻るね…。」
自分の世界に。
そう言って、ゆらは服を着ると、その部屋を出て行った。