第6章 蒼炎を慈しむ※荼毘
ゆらは荼毘に言われて、仕方なく鎖を外した。
荼毘は外れた鎖を見ると、大きくため息を吐いた。
鎖が外れても、ゆらは荼毘に触れて、彼にキスをする。
荼毘の腕がゆらの背中に回ったが、蒼炎はゆらの体を焼かなかった。
やっと自分から出来るキスに、荼毘は舌を絡めて、ゆらの表情を見た。
しっかりと情欲を向けて、荼毘の舌に応えていた。
「…荼毘…。」
ゆらの手が荼毘の服の中に入ってきた。
相変わらず場所は何処でもいいらしい。
荼毘はゆらの手を掴んで、服から剥がした。
「移動するまで、堪えてろ。」
荼毘はそう言うと、ゆらの腕を掴んで、そのまま裏路地を進んだ。
すぐに現れたビルのドアを開けた。
入ると、何個もあるドアに、それぞれ人の気配はするが、時間が深夜だからか、とても静かだった。
その内の1つのドアを開けると、簡易ベットしか置いていない部屋が現れた。
窓にはカーテンも付いていなくて、月明かりが部屋を照らしていた。
すぐにそこが、荼毘の寝る為だけの部屋だと分かる。
ボーッとその部屋を見ていると、荼毘が後ろから抱きついて来た。
ゆらは首を曲げて、荼毘にキスをすると、掴まれている手を拘束した。
「……ソレばっかだな…。」
荼毘は再び拘束具を見ると、目を顰めた。
「荼毘と繋がって無いと嫌なの…。」
可愛い顔で言っているが、ソレがただの性癖だと分かっているので、荼毘はため息を吐いた。
ソレに興奮して来たゆらがする行動は想像できた。
どうにかして、荼毘を組み敷いて、見下ろそうとするだろう。