第6章 蒼炎を慈しむ※荼毘
ゆらは荼毘に抱きつきながら、久しぶりの荼毘の感情を楽しんでる。
「…取り敢えず、鎖解け。」
荼毘はグルグル巻きの、自分の姿にため息を吐いて言った。
「まだ、もうちょっと♡」
ずっと恋焦がれて、やっと見れた荼毘の姿なのだ、ゆらはしばらく堪能したい。
「そんな暇じゃねぇんだよ。」
荼毘がイラッとした様に言うので、ゆらは荼毘の顔を両手で掴んだ。
「…私に会いに来れないくらい?」
さっきまで頬が緩んでいた顔は、真剣に荼毘を見ていた。
会いに来ると思っていた。
こんなに探さないと会えないほどに、ゆらから離れているとは思わなかった。
荼毘はゆらが思うより、ゆらに興味が無いのだろうか。
「…雄英の寮にそんな簡単に入れるか…。」
荼毘はポツリと言った。
ゆらが寮に入った事は知っていた様だ。
「お前こそ、優等生みたいに簡単に寮に入ったじゃねぇか。」
お陰で会えなくなったと、荼毘は言っている様だった。
それなら、同じ様に会いたいと思ってくれていた様だ。
「…荼毘…。」
荼毘の顔を抑えて、唇に齧り付く。
体を引こうとした荼毘の背中が壁にぶつかった。
ゆらは荼毘を壁に押し付けながら、ずっと喰べたかった荼毘の唇を堪能する。
相変わらず、感情をぶつける様なキスだが、唇を離すタイミング、相手の呼吸に合わせるタイミングを覚えた様だ。
「…はぁ…荼毘…。」
キスだけでは物足りなくなって来たのだろう、今にも喰らい付きそうな目で荼毘を見つめる。
「…いい加減、鎖外せ…。」
ゆらを触れないのも限界だ。