第5章 蒼炎を逐う※轟焦凍
だからこうして、死柄木の背後に立つのは、何の問題も無かった。
「死柄木弔。」
「「?!」」
ゆらの言葉と共に、ゆらは死柄木の手首を拘束した。
周りのヴィランはいきなり現れたゆらに動揺していた。
「何処から入って来た!」
「普通にドアから。」
コンプレスの言葉に、ゆらは平然と言った。
ドアと言っても、正面ではないが、それはそれで衝撃を与えた様だ。
「…何の用だ。」
そもそもゆらが簡単に入れたのも、敵意が無いからだ。
それが分かっているから、死柄木は随分と落ち着いている。
「荼毘の居場所が知りたいの♡」
ゆらはニッコリ笑うと、死柄木の手を握って言った。
「荼毘くんは、1人で出かけてますよ。」
トガがナイフを持ってゆらに近付いた。
「………………。」
彼らを今どうこうするつもりは無いが、流石に今トガにゆらの血を渡すわけにはいかない。
「…ダメだよトガちゃん、もう少し仲良くなってからじゃ無いと。」
ゆらはスッと死柄木の首に鎖を当てながら、トガに言った。
敵では無いが、奪うと言うなら相手になるしか無い。
「…くっつくな。」
死柄木は嫌そうな顔をして、ゆらを押した。
彼の手がゆらに触れても、崩壊が起きない事に、トガ達がビックリしてた。
「私の個性は抹消です。」
ゆらは拘束されている手を掲げて、ワザと見える様に死柄木の五指を握った。
死柄木は鬱陶しそうに、ゆらの手をパッと払った。
「…荼毘は単独で動いているから、いつ来るか分からない。」
たまにフラッと現れる以外は、集合がかがるまで、1人で何処かで何かしている。