第5章 蒼炎を逐う※轟焦凍
轟のおかげで落ち着いた情緒で、学校生活は何とか悶々としないで過ごせる様になった。
夜は相変わらず、何かに駆り立てられる様に荼毘を追った。
そんな時間が数日過ぎていた。
轟とは学校で見かけたら、挨拶する様になった。
ゆらに会うと、少し顔を赤らめる轟が、可愛く思えて目を細めた。
もしかしたらこのまま、轟のお陰で、荼毘への執着は落ち着いていって、日常生活に戻れるのでは無いかと思った。
死柄木の情報が入ったのは、捜索範囲を増やす為に、ホークスに頼んで、車を用意してもらった頃だった。
車で十分移動可能な東京で、死柄木の目撃情報があった。
新幹線も終わっている時間だったので、ゆらはすぐに東京に向かう様にお願いをした。
荼毘本人では無かったけど、十分な情報だった。
夜なら静岡から東京まで、2時間かからない。
やっと掴んだ手の届きそうな情報に、ゆらは胸が高鳴った。
ゆらは東京に着くと、情報屋と合流すると、死柄木が入って行ったと言う倉庫を教えて貰った。
ゆらは中を確認すると、死柄木と数人のヴィランが居たが、荼毘は見当たらなかった。
少しガッカリしたが、ゆらは情報屋とソコで別れた。
倉庫の中には、簡単に入り込めた。
何でそんなに簡単だったのか、中に入って彼らの状況を見てすぐに分かった。
彼らは個々であって、組織としては統制されていないからだ。
烏合の集だ。
誰かが、見張りをしている訳でもなく、彼らはそこに集まっている。
敵を対面で目視すれば、また状況は違うかもしれないが、まだ結成されて間もない彼らは、こうして入ってくる侵入者を感知出来ない。
いや、感知した時に、動けばどうにかなるという自信があるのかもしれない。