第4章 蒼炎を追懐する :ホークス
「…随分と強かになって…。」
ホークスは呆れた様に、ゆらの腰に手を添えた。
これだけの罠を、3分で出来るはずない。
ゆらは初めから、今日ホークスに会うと思って、本部に来る前に用意をしていたのだ。
「で?俺を縛って、どうしたかったの?」
ホークスの言葉に、ゆらは目を細める。
「…何も、こうして見下ろしていたいだけ。」
その姿は、やはりゆらの気持ちを高揚させている。
気を抜くと、ホークスの手をもっと激しく掴み、その唇を喰みそうだ。
だけれども、ソレは十分に抑えられる衝動だった。
あんなに追いかけ回していたホークスでさえ、荼毘への衝動には敵わない。
「…ホークス、お願い聞いてくれる?」
その為に、この状況を作ったのだ。
「こんな荒々しいお願いの仕方があるか。」
ホークスが呆れた様に言うから、ゆらは思わず笑ってしまった。
ゆらは笑った後に、スッと目を細めてホークスを見下ろした。
「欲しい人が居るの。」
ホークスはゆらの言葉に、顔を顰めた。
想像していた通り、ゆらは出会った様だ。
渇きを満たす相手に。
「自由に動ける時間が欲しかったけど、雄英の寮の話で状況が変わった。」
荼毘を追いかける時間を、ホークスにお願いしようとしたのに、余計に時間を拘束される羽目になっている。
「夜、雄英から出られる様にして欲しい。」
自由に出入りが出来れば、せめてその時間は荼毘に使える。
「……死柄木か?」
荼毘の言葉に、ゆらは思いもしなかった顔をする。
荼毘を探す間に、死柄木を見つけたら、また狩りたくなるかもしれないが。