第4章 蒼炎を追懐する :ホークス
(こんな足止めが、通用すると思っていたのか?)
ホークスの追撃に、ゆらはどんどん後退りしていく。
森から抜けて、とうとう周りの鎖が無くなった。
ゆらはもう後退は出来ない。
後ろには絶壁の崖しか無いからだ。
ホークスは大雨覆をゆらに突き付ける。
無数の剛翼がゆらを囲った。
「…何考えてる?」
剛翼に囲まれても、平然としているゆらに、ホークスは聞いた。
ゆらは更に後ろに下がり、崖から足を出したが、すぐに剛翼がゆらの体を支えた。
剛翼に身を任せて、宙に浮かぶと、ゆらはニッコリ笑ってホークスに言った。
「捕まえた♡」
ゆらは剛翼を掴んで、自分と拘束する。
「?!」
剛翼はホークスの体の一部だ。
個性を失った剛翼はただの羽になり、浮遊の機能を失った。
ホークスは慌ててゆらに手を伸ばした。
ゆらは目を細めて、自分の手から出した鎖を、ホークスに放った。
確信ていた、ホークスは絶対にこの鎖を手に取る。
ホークスはゆらの思惑通り、鎖を掴むと、ゆらを引き寄せて抱き締めた。
2人はそのまま落下する。
ドサっと2人が落ちたのは、ゆらが張り巡らせた、鎖の上だった。
「………………。」
ホークスは仰向けになって、自分の羽がヒラヒラと舞っているのを見た。
ゆらは繋がっているホークスの手をぎゅっと掴むと、起き上がってホークスを見下ろした。
「絶対、ホークスは鎖を掴むと思ってた。」
そう言って笑ったゆらに、ホークスは顔を顰めた。
鎖をたくさん重ねて作ったこのネットが、まるで蜘蛛の巣の様で、自分はまんまと飛び込んだ、間抜けな被食者の様に思えた。