第4章 蒼炎を追懐する :ホークス
「いつも通り、ホークスが鬼ね。」
ホークスを捕まえるのは無理だ。
逃げ役でもいつも簡単にホークスに捕まってしまう。
ホークスが待つ3分が、ゆらが逃げる時間だ。
させ、その間に出来るだけ罠を張る。
しかし、いつも饒舌な男は、今日は不気味な位静かだ。
(…ホークスの事を考えるのは、後にしよう。)
今は少ししか無い時間を有効に使う。
ホークスは3分待って、ゆらが入って行った山の中を見て、ため息を吐いた。
ホークスは腕を組むと、今日のゆらの様子を思い出した。
(アレは、間違いなく嘘の報告をしている。)
ホークスは、ゆらの衝動の強さを知っていた。
昔から、隙あらば、ホークスを拘束しようと、虎視眈々と狙っていた。
個性に関係しているのか、ゆらは誰かを拘束する事に、この上無い高揚感を感じている様だった。
ソレは、とても危うく、危険な思想だった。
今まで惨事が起きなかったのは、たまたまゆらにとっての衝動の対象が自分しかいなかったからだ。
ホークスは腕を組んで、人差し指で自分の腕をトントン叩いた。
本当は雄英に行かせる事すら、躊躇していた。
誰かがゆらの対象者になった時に、ゆらの衝動がどうなるか分からなかったからだ。
ゆらの衝動の先は、収集癖なのか。
……ソレとも。
相手を完全に屈する事なのだろうか。
その時に、その対象者は、果たして息をしているのか。
ホークスは、剛翼を森に放った。
部屋に入って来たゆらは、確実に乾いていた。
乾いて、乾いて、衝動対象者を何処までも追いかける、ハイエナの様な目をしていた。