第4章 蒼炎を追懐する :ホークス
ゆらが入って来ると、ホークスはゆらを見た。
そこには世間が知っている、明るい穏やかなホークスは居ない。
スッと目を伏せて、ホークスの鋭い視線がゆらを刺す様に見ている。
その表情で、ホークスがお怒りなのは分かった。
上官も同じ感情なんだろう。
あまり良くない雰囲気に、ゆらは目を細めた。
公安が雄英に行くためにゆらに求めたのは、大人しくしていろと言う事だ。
彼らはゆらの衝動の強さを知っていた。
まだ幼いゆらが、今回の様にヴィランにその衝動が向けられる事を恐れていた。
危ういのだ。
もし今回もゆらの個性が、オールフォーオンに渡ったら大問題だった。
ゆらが成長し、自身の衝動を抑えるられる様になる為に、ゆらは公安の下で働くのでは無くて、雄英にいかせて、その術を学ばせ様とした。
「…報告は警察から聞いたが、ソレは全てか?」
「…はい。」
ゆらは真っ直ぐに上官を見ながら言った。
ソレは勿論嘘だった。
荼毘と初めて会った時の事や、彼と体を重ねた事は言っていない。
ゆらの返事に、ホークスは黙ってゆらを見ていた。
他の人はともかく、ホークスだけはゆらの言葉を疑っている様だ。
(…相変わらず目敏いな…。)
ゆらはホークスの目線に気まずさを感じて、彼を見る事が出来なかった。
上官は、そのままゆらに話続けた。
どうやら雄英は、寮を作り、そのまま寮生活に入る様だ。
その話に、ゆらは動揺した。
勿論、動揺を表面に出す事はしなかったが、内心焦っていた。