第4章 蒼炎を追懐する :ホークス
爆豪は、相澤先生の会見を見て、何を思っているのだろう。
避難される雄英を見て、自分のせいだと、自分を責めているかもしれない。
あまり感情を出していないけど、真剣に見ている爆豪の顔に、ゆらは顔を晒した。
きっと自分は、爆豪の半分も、気持ちを共有していない。
ここに来て、荼毘に心が躍った時間を過ごしていたなど、誰にも言えない。
せめて、会見は目を逸らさずに、じっと見ていた。
会見の途中で、死柄木が話し始めた。
要するに、爆豪を仲間に入れたい様だ。
ここでも死柄木は別に、ゆらには興味が無さそうだ。
別に仲間になりたいと思わないから、どうでも良かったが。
ゆらは他人事の様に、その話を聞いていて、ため息を吐いた。
爆豪の拘束を解く様に、死柄木が命令したのを聞いて、ゆらはチラッと爆豪を見た。
爆豪は感情を出さずに、落ち着いている様に見えた。
だけどゆらは爆豪の目を見て、爆豪が素直に大人しく居るとは思わなかった。
ジッと爆豪を見ていると、予想通りに、爆豪が死柄木を攻撃した。
一瞬の騒めきと緊張感がこの部屋を襲った。
予想通りの爆豪の行動に、ゆらは思わず口角が上がった。
こうでないと、面白くない。
丁度会見では、爆豪の素行問題を取り上げていた。
相澤先生はその気分の悪い質問にも、真摯に答えて、爆豪を語っていた。
爆豪はヒーローになるべき人間だ。
ゆらは相澤先生の言葉を聞きながら、既に死柄木に手を出した爆豪を見てふっと笑った。
まぁ初めからこの状況は予想していて、初めから爆豪に付くと決めていた。
爆豪が死柄木を攻撃した事での動揺は、すぐに収まっていた。
トガもコンプレスも、爆豪の行動に理解を出来ないでいるが、脅威としての心情は感じられない。