第4章 蒼炎を追懐する :ホークス
ゆらは鎖を解くと、死柄木の左腕に拘束具を付けた。
不審な顔の死柄木がゆらを見る。
その目を見て、やはり死柄木は捕食者だと確信する。
ゆらを見る目は、囚われてなお、ゆらを狩る機会を伺っている様だ。
爆豪や轟も抗おうとするが、捕食対象を見て、躊躇なく殺しにいけるのは、この目なのだろう。
根本な衝動は似ているのに、実行できるかしないかが、死柄木とゆらの違いだと思った。
死柄木の手をぎゅっと握って見た。
自分の五指に、人が触れたのは何年振りだろうか。
死柄木はふと、そんな事を考えた。
「…死柄木弔…。」
ゆらはベットの上に膝を立てて、死柄木の顔を掴んで、その目を覗き込んだ。
「……ヤりたいなら荼毘の所に行け。」
死柄木はグッとゆらの腕を掴んだ。
「…貴方の…。」
ゆらの体は、死柄木の押した力には従わなかった。
突き飛ばしたいなら、もっと力を込めればいい。
ゆらはグッと死柄木の顔に自分の顔を近付けた。
「その目を閉じさせたい。」
どうやって閉じさせようか。
目を潰せば、もうこの目で自分を見下ろす事はしないだろうか。
グッとゆらの親指が死柄木の泣き袋に触れた。
死柄木がゆらの手首を掴んだ。
邪魔をするその手を、ゆらは目を細めて見た。
ゆらは死柄木の手を掴むと、関節を刺激して、反射的に外させた。
「!?」
自分の意思とは反対に、勝手に離れた自分の手に死柄木が驚いた。
「関節は、拘束するのに重要だから会得してるのよ。」
死柄木の細い腕なら、ゆらの力でも簡単に外せそうだ。