第4章 蒼炎を追懐する :ホークス
死柄木の後ろを黙ってついて行く。
いつの間にか爆豪の声が聞こえなくなった。
静かにさせられた様だ。
流石に、爆豪の身が心配になった。
死柄木に爆豪の事を聞こうとした時に、ドアの前で死柄木が止まった。
ゆらは死柄木が入った部屋に自分も入ると、中を軽く見渡した。
生活感があった、死柄木の部屋だろうか。
死柄木はベットに座ると、ゆらを見上げて言った。
「手が動く様に、個性使え。」
「え?いいの?」
ここは天国だろうか。
死柄木を縛れる許可が降りて、ゆらは気分が高鳴った。
ソレが死柄木の趣味だとしても、どうでもいい。
ゆらはベットの上に座ると、ドキドキしながら死柄木を鎖で縛った。
死柄木は個性が使えないのを確認すると、顔に付いている手のひらを五指で外した。
隠れていた死柄木の両目が現れて、ゆらは胸を高鳴らせる。
死柄木は高揚しているゆらには興味無さそうに、ゲーム機を取るとゲームをやり始めた。
「……………。」
お互い無言で、ゆらはゲームをやっている死柄木を見ていた。
ゲームの音だけが、部屋に響いている。
どうやら死柄木は、五指でゲームをやったら、上手くなるのでは無いかと、気になって試した様だ。
ゆらは目をジトッと細めて、死柄木を見ていた。
当たり前だが、全然気分が高上しなかった。
一方の死柄木は、普段四指でやる事に慣れているのか、五指だと逆にやり辛く、思った様な効果はない様だ。
プレイヤーが死んで、死柄木から舌打ちが聞こえた。
「……もういい…。」
死柄木はゲーム機を投げ捨てて、ゆらに言った。
その姿は子供の様に見えた。
死柄木は鎖を解かないゆらの顔を見た。