第22章 哀傷と蒼炎※焦凍
「……ゆらは大丈夫だよ……。」
耳元で焦凍の声が聞こえると、震える顔を押し付ける様に、焦凍の胸に顔を埋めた。
しばらく焦凍はゆらの震えている体を抱き締めた。
「……俺も……ショックだったけど、大丈夫……。何も気持ちは変わらねぇ……。」
そう言った焦凍の腕が、抱き締める力を強めた。
ゆらは返事も出来なくて、ただ嗚咽を吐くだけだった。
焦凍はそんなゆらが落ち着く様に、優しく背中を撫でた。
「………俺が止めるから………。」
そう言った焦凍の言葉に、ゆらは目を開けた。
「ゆらがもし、その嗜虐性が現れて他害しそうになったら……そうなる前に絶対止める。ゆらに誰も傷付けさせない。」
ゆらが誰も傷付けない様に。
ゆらが傷付かない様に。
その時がもし来るのであれば、絶対に自分が止める。
人を傷付けたくないと、自分の腕の中で泣くゆらが。
やっぱり愛おしかった。
愛おしくて、彼女を守るのは、どうしても自分でありたい。
今はまだ全然力が足りなくて。
ゆらに先に鎖を使われてそうだけど。
本当にゆらがそんな行動をしようたしたなら。
きっと世界一綺麗な氷結が出来るだろう。
自分の個性なら、ゆらを止めて、これ以上ゆらが自分の個性で泣かない様に。
その側に居るのは、この先どんな時でも自分でありたい。
そして何より、ゆらはその先に進まないと分かっている。
不器用で、自分の個性に振り回されながら。
それでもいつも抗って戦っているゆらを知っている。