第22章 哀傷と蒼炎※焦凍
貴方も好きだと。
そんな事を言ったところで、何の慰めにもならないと分かった。
だからそう辛そうな顔で呟いた焦凍を見て、開きかけた唇を閉じて、ゆらもまた目を伏せて涙を流した。
「……はぁ………。」
体を後ろに沿って、焦凍は顔を上げて大きくため息を吐いた。
急に動いた焦凍に、ゆらの体がビクッと跳ねた。
「…… ゆら……。」
焦凍に名前を呼ばれても、ゆらは顔を上げられなかった。
肩を震わせて、ただ顔を俯かせて、声を殺して泣いている様だ。
焦凍は目を顰めると、ゆらの顔に手を伸ばした。
頬に焦凍の手が触れて、小さなゆらの顔がピクッと反応した。
そしてそのまま焦凍の手に導かれる様に、ゆらは顔を上げる。
避けていた自分を見る焦凍の顔を目に入れた時、ゆらは目を見開いた。
焦凍は笑っていた。
悲しそうに、だけど、ゆらを見る目はいつもと変わらず、優しい目だった。
我慢していた涙が溢れる様に出ると、触れている焦凍の手にも涙が落ちて、焦凍はそっと涙を拭った。
そして、もう片方の手が伸びてきて、ゆらの背中に回ると、ゆらを抱きしめた。
「っ……うっ…。」
涙も声も我慢出来なくて、本当は触れてはいけないのに、ゆらは焦凍にしがみ付きながら、声を出して泣いた。
「…っ焦凍っ……。」
こんなに誰かに縋る気持ちになったのは初めてだった。
触れられている手も、焦凍の匂いも全てが愛おしくて、心から離したくないと思った。