第22章 哀傷と蒼炎※焦凍
「…焦凍が好きなの……荼毘が好きでも……。」
自分で言っているのに、最悪な言葉だと分かっている。
だけど言わずにはいられなかった。
思い切り焦凍に抱き付いて、嗚咽に混じった声で、ゆらは焦凍に伝えた。
焦凍は、微妙な顔で苦笑いしたけど、「分かってる。」と小さく応えた。
抱き締めているゆらの腕を解くと、焦凍はゆらの顔を覗いた。
そして俯いているゆらな顎に触れると、ゆらの顔を上げた。
目を真っ赤にして、まだ涙を溜めているゆらの頬に唇をつけた。
そして赤い唇にやっとキスをする。
せっかく解いたのに、ゆらの腕がまた焦凍に巻き付いてくる。
まるで、ゆらの鎖の様だった。
鎖で無くても全身で焦凍を欲しがるゆらが、とても愛おしかった。
ふと、自分が何故ゆらの鎖に縛られたかったか、そんな事を考えた。
彼女の鎖に縛られて、ゆらに貪る様にキスをされると。
自分を求められているみたいで、気持ちが高揚した。
だけど、ある時からゆらはあまり鎖は出さなくても、同じ様に焦凍を求める様になった。
ずっとゆらは焦凍に伝えていたのだとやっと分かった。
こうして抱き合っている時間は、個性の衝動では無くて、ゆらが焦凍を好きだと。
ゆらがそう伝えているのだと、やっと分かった。
自分の個性の衝動に苦しんでいたゆらに。
鎖で繋がれていないと不安になっていた過去の自分を恥じた。
「……ゆら…ごめん……。」
分かっているつもりで、何も分かっていなかったのかもしれない。
ずっとゆらは焦凍に助けを求めていたんだ。