第21章 オリジン※荼毘・死柄木
情けないことに、今は真っ直ぐにゆらを見れない。
もし、ゆらがまだ足掻きたいのであれば、頼れるのは焦凍だけだった。
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静岡に着いてまず初めに、焦凍にLINEを送った。
雄英には外から入るのには手続きが必要で、ゆらでは出来なかったからだ。
焦凍の返事を見なくても、彼がどんな顔で自分に会いに来るか分かる。
「ゆら!!」
待ち合わせの場所で焦凍はゆらを見ると、いつもの笑顔でゆらに走り寄って来た。
その焦凍の表情に胸が熱くなった。
焦凍の手に触れて、彼に抱き付いたのはゆらの方からだった。
いつもは焦凍から抱き締めるので、ゆらの行動に焦凍は少し戸惑う。
嬉しくて、同じ様にぎゅっと抱き締めた時に、ゆらの肩が震えているのが分かった。
すぐに焦凍は何かあったのだと気が付いた。
「……ゆら…。」
焦凍は体を離してゆらの顔を覗き込んだ。
伏せていたゆらの目から涙が溢れているのを見て、焦凍は顔を顰めた。
「……ごめんなさい…エンデヴァがあんな時に……。」
先日の脳無との戦いで、エンデヴァがどれほど傷付いたかは知っていた。
本来なら真っ先に焦凍にその事で気を遣わなければいけないのに。
そんな余裕も無く、涙が止まらなかった。
「エンデヴァは……怪我は凄かったけど、大丈夫だよ。」
スッと焦凍はゆらの涙を指で拭った。
ゆらの顔を上げさせて、ゆらと目が合う様にした。
「………どうした?」