第21章 オリジン※荼毘・死柄木
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ホークスの部屋を出ても、いく場所なんて無かった。
ただ、あの部屋に居て、ホークスと顔を合わせる事がどうしても出来なかった。
ワザとホークスを呼び寄せたであろう荼毘を恨むつもりもない。
アレは全て自分の性が起こした事態だと分かっている。
ホークスには知られまいとずっと隠していた自分の願望。
ホークスだけでは無い、焦凍や雄英の友達。
自分を知る人達と全員に知られたく無い自分の真の姿。
ホークスと目が合った時、彼の顔に怒りは無かった。
そこにあったのは、ゆらへの諦めの色だった。
側にこうして部屋を出て行っても、ホークスは探しに来ない。
剛翼だったら、この街の何処にゆらが居るのかすぐに分かるのに。
涙が出そうになって、ゆらは空を見上げた。
昨日脳無に破壊されたビルが、補修されている。
所々で、ヒーロー達も警備をしている。
普段だったら、自分もその光景の中にいるはずなのに、何故か今は他人事の様にその光景を見ていた。
ホークスはゆらを探すより、優先すべき事が沢山ある。
今この場に居ないのは当然だ。
そう分かっているのに…。
どうしてもあの時のホークスの顔が頭を過ってしまう。
(ホークスに見捨てられたらどうすればいいのか分からない……。)
ゆらは両手で顔を覆って、絶望感に押し潰されそうになるのを必死で堪えた。
(……焦凍……焦凍に会いたい……。)
そう思ったら、もう足が止まらなかった。
こんな時に焦凍に縋りたいなんて浅ましいと分かっているのに、どうしてもその衝動を抑えられなかった。