第21章 オリジン※荼毘・死柄木
「そりゃあ、簡単に出させられるだろう。」
そう言って死柄木はゆらに手を差し出した。
すぐに反応したゆらの手から鎖が出されて、死柄木の手に巻き付いた。
今死柄木はゆらを壊そうと思って手を差し出したのだ。
「あっ……。」
鎖から荼毘の心音と死柄木の心音が伝わってくる感覚と、その直後に湧き上がる衝動に、ゆらは思わず声を出した。
そのゆらを見て、荼毘は満足そうに笑った。
荼毘に恋心だと思っていた『ソレ』が、簡単に個性の衝動に塗り替えられる。
身体中が沸騰する様に熱くなっていくのを感じて、ゆらはジワっと涙が出た。
目の前の荼毘が、ゆらの恋心は要らないと言っているのが分かったからだ。
側に置きたいゆらは、常に衝動に駆られているゆらで良いと、荼毘の満足そうな目が言っている。
それが辛いと思うのに。
触れたらもう止められなかった。
「ああ…荼毘…。」
鎖がジャラジャラと音を立てながら、荼毘の身体に巻き付いた。
同時に伸ばされるゆらの腕が荼毘を抱き締めると、荼毘はゆらの耳元に唇を当てた。
「他の部屋に移動するか?」
サラッと荼毘の手が、ゆらの髪を撫でたのを感じて、ゆらは目を細めた。
「ここでいい…。」
我慢が出来ない衝動に身を任せて、ゆらは思い切り荼毘の唇に噛み付いた。
「はっ…はぁ…荼毘……。」
何度も唇を押し付けて、荼毘の口の中に舌を絡めた。
しばらく荼毘とのキスを楽しんでいると、死柄木がゆらの顔を掴んだ。