第21章 オリジン※荼毘・死柄木
自分が触れればすぐに顔を紅潮させて見上げてくるゆらに、荼毘は満足そうに笑った。
「いいのか?鎖使わないで、久しぶりなのに。」
そう言う荼毘を睨んでも、囁かれる言葉は全身に刺激を走らせる。
熱く流れる血に急かされる様に、ゆらは荼毘の手を握った。
触れたと同時に鎖が荼毘を繋いだ。
その瞬間に、いい様の無い多幸感を味わうと、荼毘の顔を掴んでその唇を喰んだ。
「っ荼毘っ……。」
余裕が無く、獣の様にキスを繰り返すゆらを見て、荼毘は笑いながらホークスとの話を思い返していた。
『お前の所の新人のサイドキック、今ウチのボスといるぞ。』
荼毘がそう言うと、ホークスの顔が明らかに歪んだ。
これは揶揄いがありそうだと、荼毘は乾いた笑を浮かべた。
「……荼毘……あの子は思い通りに制御できないぞ。確かに身体能力は高いが、まだ10代の半端者だ。」
「ああ……少し前ならな。」
荼毘の言葉に、ホークスの瞼が一瞬動いた。
『一騎打ちならそこそこの相手にも通用するけど、他勢だと難しいんだよね。』
強化合宿の時に、ゆらはそこら辺をどうにかしたいと思っていた。
少し前までは一対一なら強い相手でも1人で倒せただろう。
一方で、多勢での戦いでは、鎖で対応しきれていなかった。
「今はどうだ?離れた鎖が個性を失うまでの時間が伸びてないか?
鎖は今、同時に何本出せる?」
荼毘の言葉に、ホークスはスッと能面の様な顔をする。
そこまで荼毘が分かっているのなら、もう隠す事は出来なかった。
「分かってるだろ?あの消滅の個性が無制限に出せるなら……。
ヒーローとの戦いで圧倒的有利に立てる。
なぁ…、イレイザーベットはウチのボスとゆらと、どっちを見るのかね…。」