第21章 オリジン※荼毘・死柄木
狂気を感じた荼毘の手に、鎖が出たのは反射的なモノだった。
ゆらの鎖が荼毘の手首に絡まって、臆することなく、荼毘はその手でゆらの顔を掴んだ。
死柄木との行為で落ち着いたはずの衝動が、再び体を駆け巡る。
顔が紅潮するゆらを見て、荼毘もゆらの様子を理解した。
「は……荼毘……。」
いくら平然と装っても、荼毘はゆらが今どんな衝動に駆られているか、よく分かっているだろう。
あいも変わらず、触れただけで自分を欲するゆらの顔に、荼毘は満足そうに笑った。
「どうした?No.2じゃ足りなかったか?」
荼毘がそう言ってゆらの顔を覗き込んだ。
近付いた荼毘の顔に、今すぐ喰らい付きたい衝動を我慢した。
「まぁ、全然足りなかったのは、一目瞭然だな…。」
荼毘はチラッと死柄木を見た。
荼毘の目線に気がつくと、死柄木もニヤッと笑った。
その笑顔がまた苛々させる。
ある程度、想像してゆらを送り込んだのだが。
いつから死柄木はゆらで情欲を満たす様になったのだろうか。
まぁ起きてしまった小さな誤算は、今はどうでも良かった。
荼毘がゆらの唇を喰むとゆらは目を顰めた。
ゆらは個性の衝動を性欲にすり替える事が出来る。
特に、ホークスなんかはそうだ。
だけど、荼毘とのキスで感じるのは、やはり個性の激しい衝動と。
荼毘が好きだと思う、自分の感情だった。
悔しいな。
目の前の男は決して同じ気持ちではキスをしていない。
こうやって我慢出来なくて腕を回して抱き締めているのは、衝動がつき動かせているのではなくて。
久しぶりに会った荼毘に触れたかった。
そんな気持ちだけだった。