第21章 オリジン※荼毘・死柄木
そう伝えて、ホークスに牽制するつもりだけだった。
だけども、荼毘はその足を止めた。
先程ホークスの部屋からゆらを死柄木の所へ送った。
あのイかれた2人が、自分が居ない時間をどんな風に過ごすのか、容易く想像出来た。
その苛立ちをぶつけるには、目の前の男は丁度良かった。
「……お前の所の新人のサイドキック…。」
荼毘がポツリと呟いたゆらの話題に、ホークスのポーカーフェイスが崩れた。
その様子を見て、荼毘はニヤッと笑った。
「今、うちのボスと一緒に居るぞ。」
荼毘のその言葉だけで、ホークスは容易にゆらと死柄木が何をしているか想像出来た様だ。
そのホークスの顔が気に入らなかった。
それはゆらの歪みを知っていて、以前に話した通り、ゆらの衝動を受け止めていたのがホークスだと確信出来る反応だったから。
(…プロヒーローが、あんな末端のヒーロー卵を相手にする、ね。)
ホークスと言うブランドを持っている男が、それがどれだけの対価を支払っているのか。
その関係は、簡単には説明出来ない事だとバカでもわかる。
ホークスの生い立ちはある程度把握出来ていた。
ゆらと一緒で、捨てられた子供だという事も。
だけど2人とも肝心の【何か】が見えなかった。
荼毘は疑っていた。
その見えない部分で、ゆらとホークスは元々繋がっていたと。
そしてその疑いは、今のホークスの反応を見て確信と変わった。
『あの子の衝動を抑えられるのが俺しか居なかった。』
以前ホークスが荼毘に言った言葉だ。
だけど、ゆらは荼毘が初めての衝動だったと荼毘に伝えていた。
そして、それを示す様に、ゆらの体は間違いなく初めての相手は自分だった。