第20章 蒼炎乱舞※死柄木②
「……簡単に殺らせるかよ…。」
死柄木はゆらの頭を掴んでその唇に喰らい付いた。
舌が絡まるより、歯が当たる方が多いキスだ。
いつ自分の舌が食いちぎられるか分からない。
「っ!…てぇなぁ…。」
実際にゆらに噛まれて、死柄木が舌打ちしながら言った。
「っ!!」
すぐに死柄木がゆらの首に噛みつき、ゆらは痛みに顔を歪めた。
そのまま自分に噛み付いている死柄木の頭を掴んだ。
短い呼吸を何度も繰り返して、おかしくなりそうな衝動を痛みで誤魔化した。
「ゔっ…」
再び死柄木の手が首に触れると、今度はゆらを床に押し付けた。
逆に死柄木に馬乗りになられて、ゆらは薄っすらと目を開けた。
死柄木の頭越しに、見知らぬ天井が広がっているのを見て、自分がホークスの元から離れたと再確認した。
「!!」
ぼんやり考えていたゆらの身体に再び痛みが走った。
死柄木に噛みつかれて、滲んだ血を舐められるとジワジワと痛みが広がった。
「っいったいなぁ!」
行儀の悪い死柄木の口を、今度はゆらが塞いだ。
いつも苦労するホークスの気持ちが分かるようだった。
「あいっ変わらず下手くそ!!」
自分が大声で下手くそだと言えるのは死柄木位だろう。
死柄木の顔を両手で掴んで、ゆらは睨み上げる様に言った。
「はっ…抱きたい女なら丁寧に抱くさ。」
いつもの言葉を憎らしげな顔で言う死柄木に目を顰めた。
「……私以外に、そんな女居るの?♡」
ゆらはワザと挑発する様に死柄木に笑って言った。