第20章 蒼炎乱舞※死柄木②
「…思っていたのと違うヒーローが来たせいで、俺は今忙しいんだ…。」
チラッとニュースを見ながら荼毘が言った。
そしてゆらの顔を掴むと、目を細めて笑顔を見せる。
「悪いが言い訳は後からだ。」
グッと荼毘に顎を掴まれて、親指を口の中に入れられた。
その痛みに顔を歪めると、ゴボッと自分から黒い泥が出てきたのが分かった。
「!?」
喉に詰まりそうな感覚で、泥はゆらの意志に関係なくゆらの全身を包んでいく。
コレが何かの個性なのは分かるが、発動させた人物が見当たらなく、ゆらはただ自分の体が泥に埋もれていくのを見ていた。
「死柄木が待ってるぞ。」
荼毘がそう言った瞬間に、目の前の景色がグニャッと歪んだ。
視界が泥に塞がれて、目を瞑っているのか開けているのか分からない暗闇の中、ゴトッと自分の体が床に落ちるのが分かった。
「っ!ゲホッ」
詰まった泥を吐く様にゆらは床に倒れたまま咳き込んだ。