第18章 蒼炎の教育②※荼毘
死柄木を探すのはそんなに大変な事じゃなかった。
呼び出しに簡単に応じてくれたからだ。
死柄木に合わせて、人気のない雑居ビルに呼び出す。
ビル内にはゆらしか居なくて、足音が聞こえてくれば、それが死柄木だとすぐに分かった。
「……何だ?」
呼び出されて機嫌が悪いのか、黒霧が捕まって機嫌が悪いのか、どちらか分からないけど、現れた死柄木の声がいつもより低かった。
月明かりしか2人を照らす光は無くて、相変わらず夜見ると血の気が無い顔をしている。
窓側に座って、逆光で死柄木が見えなくならない様に警戒していた。
「…お別れをいいに来たよ♡」
ゆらはニッコリ笑って死柄木にそう言った。
ゆらが言った別れの意味が連合を抜ける事だと、すぐに分かった。
「……………。」
ゆらの言葉を聞いても、死柄木の顔色はピクリとも変わらなかった。
……やりづらい…。
「…荼毘には?」
死柄木から荼毘の話が出るとは思わなかった。
ゆらは意外な死柄木の言葉に一瞬目を細めたけど、窓からトンッと降りて死柄木の側に歩いて行った。
「…荼毘はいいや…死柄木から言っといて。」
その言葉に嘘は無かった。
「……元々仲間だったのか?」
「……いいえ…目的があったから入ったの…。」
ゆらは死柄木の目の前に来ると、ピタッと歩くのを止めた。
死柄木の赤い目がゆらを見下ろしていて、いつもの衝動を抑えるのに大変だった。
むしろ死柄木が攻撃して来てくれれば、気兼ねなく縛れるのに。
残念な事に死柄木にはそんな気配は無かった。