第18章 蒼炎の教育②※荼毘
「どっちにしろ、連合と会う事はもう無いはずだ。」
そう言ってホークスは部屋を出て行った。
今日一日はここから出るな……か。
ホークスのその言葉に逆らうつもりは無かった。
気になるのは、荼毘や死柄木は今何処で何をしているのだろう。
収集を掛けたのなら、それが自分には来なかった理由は何故だろうか。
「……捕まらないでよ……荼毘……。」
自分がこんな時に何も出来ないのが悔しい。
荼毘がヒーローと戦っている時に、ゆらは傍観者にもなれない。
ゆらはベットに横になって、そのまま顔を枕に埋めた。
それからまたホークスが戻って来るまで、言われた通り部屋で過ごしたいると、少しはホークスの機嫌も直った様だ。
ホークスが本気で心配している事もちゃんと分かっている。
いつもホークスにこんな顔をさせると、傷つくのは自分の胸だ。
その筈だったのに、どうしてもあの衝動には抗えなかった。
八斎會の事件がニュースで報道される中。
治崎が輸送中にヴィラン連合に襲われたニュースも同時に流れた。
そして、重要証拠の紛失。
ああ、死柄木は治崎からアレを手に入れたのか。
虎視眈々とこの機会を狙っていた様だ。
それが分かった瞬間に、自分がこれからどうしたいのか、明確な道標になった。
もう、こんなもどかしい気持ちにはなりたく無い。
それが、ホークスがゆらに望んだ道と違っていても。
「……別れの挨拶位はしておかないとね。」
そして死柄木から薬を手に入れて。
ゆらには叶えたいモノがあった。
それを望んだ時に、思い浮かべたのは荼毘では無く、あの笑顔だった。