第18章 蒼炎の教育②※荼毘
意外と呆気なかった。
それがゆらの率直な意見だった。
「……俺はお前が分からなくなってきたよ…。」
ため息混じりでホークスがゆらに言った。
それは他のどんな言葉より、ゆらの胸に突き刺さった。
ホークスが自分の1番の理解者だと思っていた。
そんなホークスがこうして匙を投げたなら、本当にゆらの理解者は死柄木達になってしまう。
もうこちら側に来るなと、そう言われている様で、ゆらは制服のスカートをぎゅっと握った。
「……いや…悪い……苛々して八つ当たりした…。」
ホークスはゆらの前に立つと、ソファの肘掛けに手を置いてゆらの顔を覗き込んだ。
「…あっち側に行きたいか?」
そう言ったホークスをゆらは眉間に皺を寄せて見返した。
「……本気で聞いてるの?」
いつもは絶対に行くなと言うホークスが、まるでゆらの意見を聞く様に尋ねてくる。
もう、そんな信頼関係も無くなってしまったのだろうか。
「…個性の衝動が治って来たのは、焦凍くんの影響何だろう?」
焦凍の名前を聞き、彼の顔を思い浮かべた。
間違いない…、誤魔化しても、そう出来る様になったのは焦凍のお陰だ。
自分で抑える事を覚えた訳じゃ無い。
「焦凍くんに感謝するんだな、お前は今回彼が居なかったら、間違いなく道を踏み外していた。」
何の事を、何処までを知ってそう言っているのだろうか。
連合が居心地が良いと思ってしまった事か…。
それとも……。
治崎に殺意を抱いた事だろうか。
どっちにしろ、ホークスの言う通りなので、何も言い返す事は出来なかった。