第3章 蒼炎を愛慕する※荼毘
ゆらは荼毘の首に腕を回すと、耳元で囁いた。
「脳無に悪い指示出したから、鎖で縛って力込めたら、消えちゃった。」
それはコピーが消える位の衝撃を与えたと、荼毘に伝わった。
「荼毘がヴィランで良かった…一般人にはこんな事出来ないから…。」
「……知ってるか?自分の欲の為に個性を使う奴を、ヴィランと呼んでるんだぜ。」
荼毘の言葉に、ゆらはニコッと笑った。
「大丈夫、私がこんな事をするのは荼毘だけだから♡」
相変わらずゆらの笑顔は、鳥肌が立つほど美しかった。
荼毘にキスをしようとするゆらの首を掴んで、荼毘はそのままゆらを床に押し付けた。
見上げるゆらの顔は、少し驚いた顔をしていた。
「…別に個性が使えなくても、お前ぐらい簡単に殺せる。」
荼毘はグッと、細いゆらの首を握った。
ゆらは荼毘の行動に笑った。
「私も嫌だったら、荼毘の手位払えるよ。」
あまり強く握られていない荼毘の手を退けて、ゆらは言った。
ゆらは拘束されている荼毘の手をぎゅっと握った。
「…荼毘、人殺してるよね…。」
目を細めて、ゆらは荼毘の目を見た。
別に隠している訳でも無いのに、荼毘の肩がピクッと動いた。
「コレからも殺して、どんどん罪を重ねるよね。」
ゆらは体を押して、荼毘の目の前に顔を近付ける。
「私がヒーローになったら、真っ先に荼毘を捕まえてあげるね♡」
個性を他人に使えないのが、もどかしい。
それでもそれまでは、この目の前の男は自分のモノだ。
ゆらはやっと荼毘の唇に、自分の唇を押し当てた。
こんなに弱いなら、他のヒーローにさっさと捕まってしまうかもしれない。
その時は法を犯しても、荼毘を拘束するのはゆらだ。