第17章 蒼炎の教育※治崎
スリっと治崎の顔がゆらの頬に触れた。
「……………。」
どうした……。
頭を掴まれて治崎のキスを受けながら、ゆらは目を歪めた。
これは普通の情欲なのだろうが。
荼毘と抱き合う時に、自分が荼毘にする様な行為に戸惑いしか生まれない。
こんなやる気の無いゆらに、何故こんなに治崎は愛着を持てるのだろうか。
不思議でたまらなかった。
「……ねぇ……。」
体を拭こうよ。
あなたは潔癖では無かったっけ?
スキンシップが気持ちが悪いと人を遠ざけていた治崎がもうそこには居ない。
グッと治崎の胸を押して、ゆらは彼を遠ざけようとした。
「……黙ってろ…。」
低い声だったが怒っているわけではなく、何処か懇願する様に聞こえた。
ゆらは軽くため息を吐くと、押していた手をベットに置いた。
そうしたゆらに治崎が覆い被さるから、この行為がしばらく続く事が分かった。
たった薬一個じゃ全然対価じゃない。
そう思いながら自分の体を貪る治崎に、ゆらは目を閉じた。